すぐに使える対人術

人と上手に話す「対人術」を解説しております。ぜひ、お試し下さい。

【第20回】すぐに使える対人術:上級編 交渉/相手に納得してもらうには

自己実現の最高の形は、自分一人ではできないことを達成する所にあります。他者の協力を仰ぐには、交渉が不可欠です。

 

人間は、自分が納得したことに対して、驚くほど従順に動きます。反対に言えば、納得できない部分が少しでもあれば、反抗される余地があるのです。今回は、人との交渉についてお話しします。

人が決断するまでにかかる時間は、それぞれ違っています。即断即決をモットーにする人もいれば、慎重に検討して答えを出す人もいます。そのため、交渉事の鉄則として、絶対に相手を急かさないこと。があります。

人間は、自分のペースで物事を進めている時は、自分が自発的に動いていると認識します。このペースを乱さなければ、自分が納得して下した判断だという印象を持ってくれます。

 

次に、提案の仕方についてです。提案は自分の主張です。それを相手に示す時ですから軽んじてはいけません。まず、提案する内容が、自分と相手に関係することが前提ですが、その上で、自分がどう思って提案をしているのか、相手に何をしてもらいたいのかを明確にしましょう。その後、提案を受け入れてもらった場合の相手の利益や、予想される結果を説明します。ここが一番大切です。相手にとって利益のあることや、実現できる可能性の高い提案ができれば、その時点で提案を聞いてみる。という立場から提案の中身を検討するという段階に移ります。この段階に入ることができれば、提案の概要は受け入れられ、どのように関わって行くのかを考え始めたと見なせます。

 

その後は、具体的な内容を詰める作業です。この時の注意点は、相手の意向を必ず一度は受け入れることです。自分の利益分が削がれない限りは、相手側の思う通りの流れを一度作らせるのがポイントです。たとえ、それがどんなに無駄が多く、余計な手間のかかる内容であっても、必ず一度は受け入れるようにします。そうした後で、明確な理由を添えて、一つ一つ訂正を打診して自分の意見や、やり方を作業行程に組み込んで行きましょう。

この面倒な過程が一番大変なのです。内容を詰める話の間に、相手はこちらの協力体制や、本気度を見てきます。提案したのがこちら側であるならば、相手は一方的に仕事を押し付けられることを嫌います。そのため、極力、相手側の提案に沿って一度大筋の流れを決めた後で、そこから自分のやり方を主張していくという作業が必要なのです。大筋では先に合意を取り付けてしまうことが重要なポイントです。

相手が、自分の意向で内容を決めたと納得し、そこから話し合いを通して細かい部分を、より優れたやり方に改善した、という認識をしてもらえば、相手は全てを納得してから協力してくれます。

 

人間を自分の思い通りに動かすには、粘り強さと忍耐力、そして、洞察力が必須です。相手の求めるものを提供して協力体制を維持しつつ、自分の意思を通す。そのために、相手を気持ち良く動かす技術を身に付けましょう。互いに損が無ければ、必ず上手く行きます。

 

<まとめ>

l  人は、自分が納得したことには、とことん協力してくれる。

l  人が納得するまでの間は、絶対に急かさずひたすら待つこと。

l  相手のペースに合わせて内容を決め、協力しあうことを決定事項にしよう。

l  自分の意見や改善策は、後から少しずつ出す。ただし、大事な部分は先に明示しておくこと。

 

謹告

この文章には著者の主観に基づく考察が多く含まれています。内容を実行して何らかの不利益を被った場合においても、その責任は一切負いかねますのでご了承ください。

また、ここに書かれた技術が誰にでも適するとは限りません。内容を基にして、自分なりの工夫をされることを推奨します。

自分に合った技術を身に付けることが最良であり、この文章が読者の役に立つことを願っています。

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【第19回】すぐに使える対人術:上級編 自己分析2/印象のパターン化

前回のお話は、人間の他者に対する感情は、その人の印象から生じていることを説明し、それについて分析をしてみることを提案しました。

今回はその話を引き継ぎ、具体的な分析方法をお話しします。

まずは、自分を振り返って考えてみましょう。

誰でも良いので、知っている人を1人思い浮かべます。

思い浮かべた人に対する印象を頭の中で考えて見てください。

 

特定の人に対する印象を考えたら、その印象が何に起因するものなのかを分析していきます。

この時、「この人はこういう事をしたから、こういう印象を持ったんだ」というように説明できれば良いのですが、多くの場合そこまで具体的には覚えていません。

そこで、思い出せる範囲で構わないので、思い浮かべた人に関する記憶を、ひとつひとつ取り出して振り返ってみましょう。

すると、色々なその人に関する記憶が、意外に多く思い出されるはずです。その記憶と、最初に考えた印象とを照らし合わせて、その人の何を見たり、聞いたりして、自分は印象を抱いたのかを分析します。

 

いまいちピンとこない方は、嫌いな人を思い浮かべて分析にかけてみましょう。嫌いな人はいない。という人や、あんな奴のことは思い出したくもない。という人は、代わりに、日頃、自分はどういう時にイラついたり、ムッとするのかを考えてみてください。

嫌いな人物の行動は、簡単に「この時の、こういう所が嫌い」という風に言い表すことができませんか?

自分が不快な思いをした経験は、どういう状況であったのかということを自分が思っている以上に明瞭に記憶されているものです。この条件で分析に慣れたら、さっさと好ましい記憶や人物の分析に移りましょう。その方が楽しいですから。

 

この作業を自分の知っている複数の人を対象にして行っていくと、大抵の場合、自分が特定の印象を受ける条件は似ていることが分かってきます。ひとりひとりの記憶にまつわるエピソードは違っていても、そこから受ける印象に結び付く要素は、意外に類似しているものです。

なぜなら、その経験を経た印象を表すのは、ただ一人の人間だからです。

 

分析から分かった、自分はこういう時にイライラしやすい。とか、他人のこういう行動が気に入らないことが多い。といったものが、あなた個人の気質であり、好き嫌いを表しています。「私は、何々が好き」のように自分が主体の情報から考えるのではなく、他人や状況といったものに対する自分の反応を基にすることで、より精度の高い分析結果が得られます。

 

自分がどのような人間を好き嫌いして、どういった状況で何を感じやすいのか、そのパターンを知っておくと、それに応じた状況への対処がしやすくなります。自分が何をすれば喜ぶのか、また嫌がるのかを知っており、それが何によって起こるのかを理解していれば、ある程度の結果予測や行動計画が立てられるのです。あやしげな言い方をすれば、自分にとって嫌なことを避けるようにして、好みのタイプの人や出来事を探しやすくするために行う魔法の儀式でもあります。

 

ここからは注意になります。

前回、印象のすり替えや先入観のお話をしました。この正しくない他人への印象は、絶対に分析にかけないように細心の注意を払ってください。

間違った分析結果から、誤った自分の認識パターンを作ってしまうと、なかなか修正をかけることができません。

 

また、人間の心は時間と共に変化します。同じ人を相手にする場合でも、一度分析した結果をずっとパターンと見なして関わるのは、避けた方が賢明です。

自分の価値観も同様で、成長に伴って良いと思うもの、悪いと考えることの基準や考え方が変わっていきます。分析は常に自分の最新の状態を基にして、行うようにしましょう。

 

<まとめ>

l  自分の持つ価値観を分析してみよう。

l  自分が受ける印象が、どのような原因から感じられるものなのかを明らかにしよう。

l  人の行動や場面に対する自分の反応をパターン化すると、対処が楽になる。

l  自分も人も時間と共に変わるので、常に分析には最新の情報を使うこと。

 

謹告

この文章には著者の主観に基づく考察が多く含まれています。内容を実行して何らかの不利益を被った場合においても、その責任は一切負いかねますのでご了承ください。

また、ここに書かれた技術が誰にでも適するとは限りません。内容を基にして、自分なりの工夫をされることを推奨します。

自分に合った技術を身に付けることが最良であり、この文章が読者の役に立つことを願っています。

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【第18回】すぐに使える対人術:中級編 自己分析/好き嫌い

人には好悪の感情があります。そのどちらも相手のことを知らなければ生じないというのはお気づきでしょうか?

人間が全く知らない人に向けるのは、無関心です。直接にせよ間接にせよ何らかの形でその人に対する印象を受けている場合にだけ、そこから感情が表されます。

自分に似ているもの、協力してくれるものを好み、異質なもの、邪魔するものを嫌う。というのが基本的な人間の好悪の性質です。しかし、人間は複数の判断基準を持っており、その価値観は単純には決まりません。

例えば、奇抜な服装を見た時に、それをファッションと捉えるか、ありえないと思うのかは人次第です。その人個人の気質と言い換えても良いでしょう。

さて、この好悪感情が対人関係にどのような影響を与えるかについては、説明するまでもないでしょう。今回と次回は、その感情の基になっている人に対する印象を分析することについてお話をします。

 

よくあることなのですが、役者さんの演技を見て抱いた印象を、そのまま役者個人に対する印象にすり替えてしまっている人がいます。直接関わる機会の少ない人に対してならば、さしたる問題はないのですが、実際に関わる人に対して印象のすり替えをしてしまわないように気をつける必要があります。運動部系の人って暑苦しいよね。とか、文科系って地味。のように、所属や活動の印象を先取りして判断してしまうことです。

その所属や活動に対する好き嫌いが、それを行う人に対する印象になってしまう。先入観が正しい対人判断を難しくしているのです。

 

人のしぐさや振る舞いを見ることと、人が行っている活動を見ることは全く違います。前者は、自然に行われて、その人の心や気質を表すものですが、後者は人がその活動の枠内に入っているだけで、当人の姿を反映するものではないからです。

人が何を選択しているのかによって、その人を知る方法は確かにありますが、大抵は先入観に基づく推測に過ぎません。

 

その人のことをきちんと知らずに、直感的に気に入ったとか好き嫌いを決めつけるのは、失礼です。第一印象や事前の情報は確かに大事ですが、人元関係を続けるかどうかは中身で判断することを忘れないようにしましょう。

次回に続きます。

 

<まとめ>

l  人への感情は印象が基になって表れる。

l  人間が持つ価値の基準はさまざまで、単純には決まらない。

l  その人の活動から受けた印象を、その人個人の印象にしてしまわないように気をつけよう。

 

謹告

この文章は著者の主観に基づく考察が多分に含まれます。内容を実行して何らかの不利益を被った場合においても、その責任は一切負いかねますのでご了承ください。

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【第17回】すぐに使える対人術:中級編 対人哲学5/心の防御・安定

人間関係において感情の衝突や、意見の食い違いは頻繁にあることです。そのような状態になると、少なからず人間は衝撃を受けてしまいます。今回は、自分から行う対人術ではなく、相手側の行為をどう受け止めるのかについてお話をします。

何か自分の外側から刺激を受けた時、生き物は必ず何らかの反応をします。常に何事にも動じない。というように見える人がいるのですが、そういう人でも何かあれば反応します。その反応が短い時間で済み、かつその後は気にしていないという点が違うのです。

 

具体的に説明します。近くでいきなり怒鳴り声が聞こえた時、人間はびっくりします。驚いて立ち上がったり、声がした方向を振り向いたりと色々な反応を示すでしょう。これは、生き物として当然の反応です。自分の身に危険が迫っていないかどうかを確かめる必要があるからです。

しかし、問題は危険が無いことが分かった後です。びっくりしたままでびくびくしていたり、驚いたせいで何をやっていたのかを忘れてしまったり、怒鳴った相手にイライラしたりと、上手く心を衝撃から切り替えられない状態になってしまうことがあります。これは、心が、自身に降りかかってきた出来事を認識し切れず、理解できなくて混乱している状態です。心が受けた衝撃を処理して安定するまでの状態を短くできれば、何事にも動じない状態に近付きます。

 

人間は、事前に意識した事柄に対して耐性を持つことができます。あらかじめ何が起こるのかが分かっていれば、心の中で準備ができるので対策を取れます。しかし、余程の人生経験を積んでいれば別ですが、日頃の生活や人間関係の全てに対して事前準備をしておくことはできません。そのため、反応はしても、その後まで残さない。気にしないようにする技術が大事になってきます。

 

今回の提案は、人を相手にする時の心構えを覚えることです。その心構えとは、人間を相手にするのだから、何かあるのが当たり前。です。突然怒鳴り散らされることも、泣き出されることも、有り得ないとは言えないのが対人関係です。それら全てを網羅して想定することは不可能ですが、常に何かあるのが当たり前であると思って人を相手にしましょう。この心構え一つで、衝撃を受けた時の処理速度に大きな差が生まれます。

 

無理に冷静な対応をしようとしたり、別の事柄を考えようとしても、心が衝撃を受けたままでは上手く行きません。いかに心の動揺を引きずらずに、次の行動に移せるかが重要になります。これには心の持ち方が大きく関係します。

ここでできるアドバイスとしては、衝撃を正面から受け止めるな。という事です。何が起きたのかを客観的に捉えることで、自分の中で状況の理解ができれば心の動揺を早く収められます。現状を認識しようとしても上手く捉えられなかったら、自分は落ち着く必要があると意識してみてください。自分が動揺していることを自覚するだけでも、大分落ち着けることを覚えておきましょう。

相手が何を言っていても、納得できるまでお互いに話し合えれば最終的に折り合いをつけられない問題はほとんどありません。その障害になるのは話し合いの最中に心が衝撃を受けて動揺してしまうことによって、まともな話し合いができなくなるためなのです。注意してください。

 

<まとめ>

l  人間を相手にすれば、予想外のことが起こるのが当たり前。

l  心が動揺してしまった時は、それを自覚してみよう。

l  心構え一つで、意識は大きく変わってくる。

 

謹告

この文章は著者の主観に基づく考察が多分に含まれます。内容を実行して何らかの不利益を被った場合においても、その責任は一切負いかねますのでご了承ください。

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【第16回】すぐに使える対人術:中級編 ファッション3 無難な格好

ファッションに興味が無い人、自信がない人は、いわゆる無難な格好をしようとします。中には、興味が無いからこそ個性的な装いになる人もいますが、今回は無難な格好についてお話しします。

無難な格好とは、どのようなものでしょうか?

1.   その場に合っている格好

その場にふさわしい格好をしていない人は、注目を集めます。なので、無難な格好とは言えません。例えば、制服姿の集団にまぎれて、パーカーを着ている人がいれば目立ちます。

2.   原色でないこと

以前お話しした原色は、見る相手に強い印象を与えます。そのため、無難な格好には向きません。

3.   モノトーンに近い配色

モノトーンとは白黒二色の配色のことです。制服やスーツが没個性になりやすいのは、全員が似たような格好をしているからだけでなく、白と黒色を主とした単調な色彩が集団を覆っているからです。

人間が光の弱い場所で物を見分ける時には、白黒の判別が明暗を識別する時に認識される材料になっています。これが何を意味するかというと、白黒の世界は、光や動きの乏しい味気ない世界を表すのと似ているということです。もちろん、他に色々な服装をする人がいる中で、モノトーンのファッションをすれば意味はあります。しかし、現在の社会的なユニフォームであるスーツや制服が白黒を基調としていることが多い以上は、モノトーンファッションは無難な格好になりやすいと言えます。

4.   自分に似合っている服であること

自分に似合う服の反対は、似合わない服です。似合わない服装は、目立つので無難な格好とは言えません。この極端な例は、女装した男性の格好を思い浮かべると良いでしょう。コスプレも、この似合わない範疇に入ります。

自分に似合う服がどういうものかは、以前お話しした自分の肌色についての記述と、常識的なファッションセンスを参考にしてください。

5.   ファッションアイテムを利用しない

ファッションアイテムと称される物の多くは、身に付けた人を目立たせる工夫がしてあります。アクセサリーは、たとえ大量生産品であっても、その人の個性を強く表します。これも以前お話ししましたが、目立たないくらいでも充分印象付けに役立ちます。

 

以上の5点に加えて、髪形や髪色、化粧なども、いわゆる普通の地味目・真面目と呼ばれる種類にすれば、無難な格好の無難な人の完成です。

 

あえて言いますが、無難な格好をしても人間と関われば、その人の性格や性質が必ず表現されるので、個性の無い人間というのはいません。個性を消そうとしている人は、消そうとしているのが個性です。周囲に溶け込んで目立たないようにしている人は、目立たないようにしているのが個性です。結論、どんな格好をしても個性は出ます。

では改めて、無難な格好の定義をしてみます。それは、人に良い印象も悪い印象も与えないし、注目されるところの無い格好です。ファッションは会話のきっかけの一つです。相手の装いの中で、注目したものをほめたり、質問したり。無難な格好では、そうしたきっかけにはなりませんが、その反面、良い面もあります。原色やアクセサリーの時に話をしたように、ファッションは相手に強い印象を与えるので、その内容によっては悪い印象を与えてしまう可能性もあります。これをリスクととらえれば、無難な格好をするだけでリスクを一つ減らせると言えるでしょう。

 

<まとめ>

l  ファッションは、自己主張。

l  相手に悪い印象を与えなければ、無難な良い格好。

l  結局、話が始まれば服装は関係ない。

 

謹告

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【第15回】すぐに使える対人術:中級編 人前での発表2/集団戦

大勢の人の前に立って話をする時、まず何をすれば良いのでしょう?

深呼吸でしょうか? 覚えてきた内容の冒頭を思い出すことでしょうか?

今回は再び人前で話をする時について、集団戦と捉えてお話しをします。

 

さて、最初の質問に対する答えは、目の焦点を合わせる。です。

は?と思われる方もいるでしょうが、目がしっかり何かを見ているのといないのとでは、大きな違いがあります。

人間は行動の対象を明確にすると、そこに意識を集中させます。対人術の基本は、相手をしっかり認識することです。そうは言っても、今回の話では相手は集団。ひとりひとりに対してではなく、全体に向けて話をしなくてはいけません。

 

充分な経験を積んだ人や、上手なスピーチをする人は、演壇に立って自分の正面遠くの方にまっすぐ視線を向けて話をしています。かつ、時々顔を動かしますが、決して上下方向には向けません。あくまで自分の正面を見ています。

これは、以前お話しした脳の働きと目線の関係、また、相手から見た自分の見え方から考えて、合理的な技術であることがお分かりになるでしょうか。

例えば、話の内容を確認しようとして原稿を見る。そのために下を向けば、原稿が聞き手からは見えなくても、それだけで話の内容に自信が無いように見えてしまうのです。また、上方向に注意を向けたらどうでしょうか。折角近くで聞いてくれている人から見ると、上から目線で見下されるように見えます。正面を見据えて自分の脳にはっきりと対象を認識させ、話に集中できる状態に自分を持って行けるのも利点です。

 

さて、目の焦点を合わせる対象とは何か。何でも良いのです。正面を向いて見える光景の先にある何かに、目の焦点を合わせて話しかけましょう。

学校の授業を最前列で聞いたことのある人は分かるかも知れませんが、先生は近くの生徒では無く、遠くのどこかを見ながら授業をしています。誰か特定の人物に注目するのは、問題を解いてもらうために指名する時か、思いっきり机に突っ伏して寝ている人がいる時くらいです。

とは言っても、すぐに遠くのどこかに焦点を合わせる技術を身に付けるのは難しいと思います。

今回の提案は、話を聞いてくれている誰かを見つけよう。です。これなら簡単なはずです。自分の方を見て、話をちゃんと聞いてくれている人を探し出し、見つけたらその人を中心に語り掛けます。

疑似的な一対一の対人関係を自分の中に作れるので、かなり話しやすくなるはずです。できるなら、複数の聞いてくれている人を見つけて、順繰りに巡りながら話すのが良いでしょう。集団戦でやってはいけないことは、どこを向いてしゃべっているのかはっきりしないこと。そして、特定の人物に対してしゃべっているような印象を与えることです。この2点に気を付ければ、悪い印象を持たれる可能性を下げられます。

 

大勢の人の前に立った時に、自分の話の内容や調子を整えるだけでなく、これから話をする人達を眺めてみましょう。自分の話を聞いてくれる味方を見つけ出せば、自分に有利な心境で話を始められるはずです。日頃から誰かと話をすることができているのだから、それと全く同じようにできるのです。

 

<まとめ>

l  自分の正面方向に向けて目の焦点を合わせよう。

l  焦点を合わせる対象は何でも構わない。

l  自分に注目して、話を聞いてくれている人を見つけよう。

 

謹告

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【第14回】すぐに使える対人術:中級編 対人哲学4/人と仲良くする

人と仲良くする。というのは、当然だと思いますか?

人間は一人の存在では生活を送れません。電気・ガス・水道・家そのものなど、必ず誰かが作ったサービスや仕組みを利用しています。人とのつながりは、人生の一部とも言われます。

しかしながら、人と仲良くするというのがいかに難しいか、知っている人もいると思います。今まで生きて来て、一度も難しさを感じた事のない人は、とても幸せです。

人間は、仲良くする人を選びます。その判断基準は成長するほどに厳しくなります。同時に、人間は成長するほどに自分の個性を主張し、表現しようとします。この二つの方向性が真逆であることから、個性的な人間になるほどに人の判断基準から外れてしまうのです。だからこそ、気の合う仲間や友人と出会えるという言い方もできます。個性的な自分を表現して、受け入れてくれる存在は、個性を出していないと分からないからです。

 

さて、今回の提案は、人と頑張って仲良くする。です。

頑張ると言っても、熱烈にアピールするとか、気付いてもらえるまでサインを出し続けるようなことではありません。

ポイントは、きっかけを上手くつかむことです。どんな状況や場面でも、これが当てはまります。積極的な性格で、自分から初対面の人に話しかけていけるような人は、自分で仲良くするきっかけを作っていることになります。これができるなら、何も問題はありません。

自分と相手を関係付ける何ものかを見つけましょう。

 

一番簡単な例を挙げると、仕事や課題です。やらなければいけない問題を媒介にして、これを上手く解決するにはどうしたら良いのか相談を持ちかけます。相手にとっても関係する事柄なので、ほとんどの場合はまともに応じてくれるはずです。

スポーツを嗜む人なら、チームを組んで一緒に戦うことを考えれば、作戦や得意なことなどの情報を共有するコミュニケーションが勝利の鍵になることが分かるでしょう。このチームワークも頑張って高めるものです。

 

共通の興味や課題、相手が何かで困っている、相手の行う活動に反応を示す。などなど、探せばきっかけになるものは結構あります。頑張るのはきっかけ探しの後、行動に移すことです。

きっかけを見つけてから動くか動かないかで、見つけたきっかけが縁に発展するか、袖振り合っただけだけの出来事になるかが決まります。自分と合いそうな人物を見つけたら、頑張って仲良くしてみましょう。

 

<まとめ>

l  人と仲良くするのは大変。

l  人とは頑張って仲良くするもの。

l  話のきっかけを探して、頑張って行動に移そう。

 

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