すぐに使える対人術

人と上手に話す「対人術」を解説しております。ぜひ、お試し下さい。

【第15回】すぐに使える対人術:中級編 人前での発表2/集団戦

大勢の人の前に立って話をする時、まず何をすれば良いのでしょう?

深呼吸でしょうか? 覚えてきた内容の冒頭を思い出すことでしょうか?

今回は再び人前で話をする時について、集団戦と捉えてお話しをします。

 

さて、最初の質問に対する答えは、目の焦点を合わせる。です。

は?と思われる方もいるでしょうが、目がしっかり何かを見ているのといないのとでは、大きな違いがあります。

人間は行動の対象を明確にすると、そこに意識を集中させます。対人術の基本は、相手をしっかり認識することです。そうは言っても、今回の話では相手は集団。ひとりひとりに対してではなく、全体に向けて話をしなくてはいけません。

 

充分な経験を積んだ人や、上手なスピーチをする人は、演壇に立って自分の正面遠くの方にまっすぐ視線を向けて話をしています。かつ、時々顔を動かしますが、決して上下方向には向けません。あくまで自分の正面を見ています。

これは、以前お話しした脳の働きと目線の関係、また、相手から見た自分の見え方から考えて、合理的な技術であることがお分かりになるでしょうか。

例えば、話の内容を確認しようとして原稿を見る。そのために下を向けば、原稿が聞き手からは見えなくても、それだけで話の内容に自信が無いように見えてしまうのです。また、上方向に注意を向けたらどうでしょうか。折角近くで聞いてくれている人から見ると、上から目線で見下されるように見えます。正面を見据えて自分の脳にはっきりと対象を認識させ、話に集中できる状態に自分を持って行けるのも利点です。

 

さて、目の焦点を合わせる対象とは何か。何でも良いのです。正面を向いて見える光景の先にある何かに、目の焦点を合わせて話しかけましょう。

学校の授業を最前列で聞いたことのある人は分かるかも知れませんが、先生は近くの生徒では無く、遠くのどこかを見ながら授業をしています。誰か特定の人物に注目するのは、問題を解いてもらうために指名する時か、思いっきり机に突っ伏して寝ている人がいる時くらいです。

とは言っても、すぐに遠くのどこかに焦点を合わせる技術を身に付けるのは難しいと思います。

今回の提案は、話を聞いてくれている誰かを見つけよう。です。これなら簡単なはずです。自分の方を見て、話をちゃんと聞いてくれている人を探し出し、見つけたらその人を中心に語り掛けます。

疑似的な一対一の対人関係を自分の中に作れるので、かなり話しやすくなるはずです。できるなら、複数の聞いてくれている人を見つけて、順繰りに巡りながら話すのが良いでしょう。集団戦でやってはいけないことは、どこを向いてしゃべっているのかはっきりしないこと。そして、特定の人物に対してしゃべっているような印象を与えることです。この2点に気を付ければ、悪い印象を持たれる可能性を下げられます。

 

大勢の人の前に立った時に、自分の話の内容や調子を整えるだけでなく、これから話をする人達を眺めてみましょう。自分の話を聞いてくれる味方を見つけ出せば、自分に有利な心境で話を始められるはずです。日頃から誰かと話をすることができているのだから、それと全く同じようにできるのです。

 

<まとめ>

l  自分の正面方向に向けて目の焦点を合わせよう。

l  焦点を合わせる対象は何でも構わない。

l  自分に注目して、話を聞いてくれている人を見つけよう。

 

謹告

この文章は著者の主観に基づく考察が多分に含まれます。内容を実行して何らかの不利益を被った場合においても、その責任は一切負いかねますのでご了承ください。

また、ここに書かれた技術が誰にでも適するとは限りません。内容を基にして、自分なりの工夫をされることを推奨します。

自分に合った対人技術を身に付けることが最良であり、この文章が読者の役に立つことを願っています。

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