すぐに使える対人術

人と上手に話す「対人術」を解説しております。ぜひ、お試し下さい。

【第19回】すぐに使える対人術:上級編 自己分析2/印象のパターン化

前回のお話は、人間の他者に対する感情は、その人の印象から生じていることを説明し、それについて分析をしてみることを提案しました。

今回はその話を引き継ぎ、具体的な分析方法をお話しします。

まずは、自分を振り返って考えてみましょう。

誰でも良いので、知っている人を1人思い浮かべます。

思い浮かべた人に対する印象を頭の中で考えて見てください。

 

特定の人に対する印象を考えたら、その印象が何に起因するものなのかを分析していきます。

この時、「この人はこういう事をしたから、こういう印象を持ったんだ」というように説明できれば良いのですが、多くの場合そこまで具体的には覚えていません。

そこで、思い出せる範囲で構わないので、思い浮かべた人に関する記憶を、ひとつひとつ取り出して振り返ってみましょう。

すると、色々なその人に関する記憶が、意外に多く思い出されるはずです。その記憶と、最初に考えた印象とを照らし合わせて、その人の何を見たり、聞いたりして、自分は印象を抱いたのかを分析します。

 

いまいちピンとこない方は、嫌いな人を思い浮かべて分析にかけてみましょう。嫌いな人はいない。という人や、あんな奴のことは思い出したくもない。という人は、代わりに、日頃、自分はどういう時にイラついたり、ムッとするのかを考えてみてください。

嫌いな人物の行動は、簡単に「この時の、こういう所が嫌い」という風に言い表すことができませんか?

自分が不快な思いをした経験は、どういう状況であったのかということを自分が思っている以上に明瞭に記憶されているものです。この条件で分析に慣れたら、さっさと好ましい記憶や人物の分析に移りましょう。その方が楽しいですから。

 

この作業を自分の知っている複数の人を対象にして行っていくと、大抵の場合、自分が特定の印象を受ける条件は似ていることが分かってきます。ひとりひとりの記憶にまつわるエピソードは違っていても、そこから受ける印象に結び付く要素は、意外に類似しているものです。

なぜなら、その経験を経た印象を表すのは、ただ一人の人間だからです。

 

分析から分かった、自分はこういう時にイライラしやすい。とか、他人のこういう行動が気に入らないことが多い。といったものが、あなた個人の気質であり、好き嫌いを表しています。「私は、何々が好き」のように自分が主体の情報から考えるのではなく、他人や状況といったものに対する自分の反応を基にすることで、より精度の高い分析結果が得られます。

 

自分がどのような人間を好き嫌いして、どういった状況で何を感じやすいのか、そのパターンを知っておくと、それに応じた状況への対処がしやすくなります。自分が何をすれば喜ぶのか、また嫌がるのかを知っており、それが何によって起こるのかを理解していれば、ある程度の結果予測や行動計画が立てられるのです。あやしげな言い方をすれば、自分にとって嫌なことを避けるようにして、好みのタイプの人や出来事を探しやすくするために行う魔法の儀式でもあります。

 

ここからは注意になります。

前回、印象のすり替えや先入観のお話をしました。この正しくない他人への印象は、絶対に分析にかけないように細心の注意を払ってください。

間違った分析結果から、誤った自分の認識パターンを作ってしまうと、なかなか修正をかけることができません。

 

また、人間の心は時間と共に変化します。同じ人を相手にする場合でも、一度分析した結果をずっとパターンと見なして関わるのは、避けた方が賢明です。

自分の価値観も同様で、成長に伴って良いと思うもの、悪いと考えることの基準や考え方が変わっていきます。分析は常に自分の最新の状態を基にして、行うようにしましょう。

 

<まとめ>

l  自分の持つ価値観を分析してみよう。

l  自分が受ける印象が、どのような原因から感じられるものなのかを明らかにしよう。

l  人の行動や場面に対する自分の反応をパターン化すると、対処が楽になる。

l  自分も人も時間と共に変わるので、常に分析には最新の情報を使うこと。

 

謹告

この文章には著者の主観に基づく考察が多く含まれています。内容を実行して何らかの不利益を被った場合においても、その責任は一切負いかねますのでご了承ください。

また、ここに書かれた技術が誰にでも適するとは限りません。内容を基にして、自分なりの工夫をされることを推奨します。

自分に合った技術を身に付けることが最良であり、この文章が読者の役に立つことを願っています。

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