【第25回】すぐに使える対人術:上級編 対人哲学8 人の全力を引き出す
人は金で動く。確かにそういう面もあります。名声・人気・報酬、社会に対して良い行いをした人には、自然と集まるものです。しかし、人が本当に良い仕事をするのは、どんな時なのかを考えてみましょう。人の本領を発揮させ、100%の力を使って動いてもらうために必要な要素が分かるはずです。
子どもの頃、遊びに夢中になって時間が経つのを忘れた経験はありませんか?
反対に、親に無理矢理に習い事へ連れて行かれて、早く終わんないかなーと、長い時間を過ごしたことはないでしょうか?
やっておいて良かった。という言葉を聞くと思います。何かあった時に役に立つ。大人になってから良さが分かる。そういった類のものです。それらは確かに、無いよりは有る方が良いでしょう。ですが、考えてみてください。その、やっておいて良かった事柄が役に立つのは、どんな場面ですか?
自分で気付かなければ価値の分からない事柄は、世の中にはたくさんあります。しかし、本当に意味や価値のある事柄は、気付く必要もなく自分の中に存在していることをご存知ですか?
責任や、道義、人情など、社会に出て働く理由は、報酬以外にもあります。ですが、いずれも自分が主体では無いことにお気付きでしょうか。他人が主体なのです。他者に何かしてあげる。それに対して責任が生じる。対価が発生する。それを行う理由は、道義や人情。社会の役に立つ事柄だから。誰かの助けになるから。
人間が幸せを感じるのは、全てが自分の思い通りになっている時。ではありません。地位も、金も、名誉も。有力な友人や巨大な組織が味方であったとしても、自分が満たされていなければ何の意味もないのです。人間が最も満たされるのは、一心に何かに取り組んでいる時間の間です。
世の中には、金で動かない人間もいます。正確に言うと、金では動けないのです。何故なら、自分が行動を起こす理由にはならないと考えているから。他人から何を出されようと、他人に何をしてあげようとも、社会はそれに見合った対価以下のものしか払いません。自分という主体を満足させるものは、結果には存在せず、過程の中にあるのです。
よって、人に全力を出してもらうためには、その人が無心になって没頭できる事柄を依頼しなければなりません。それをやって何がもらえるとか、その意味や価値に関係無く、自分が主体となって目の前の物事に取り組める。これだけで良いのです。
人は、主体性に飢えています。自分にしかできないこと、自分の存在意義を、気付かない内に探しています。真に適切な仕事を人に与え、夢中になってやってもらった事柄は、それが社会の役には立たなくても、素晴らしい価値があることを理解しましょう。
見返りなど一切無くても、本当にやりがいのある事柄を頼まれれば、誰も断りませんし、優れた結果を出してくれます。熱中できるものを見極めるには、その人と向き合ってよく知っておく必要がありますが、見極めなくても、自分自身が夢中になって取り組んでいるものに巻き込んでいく方法が使えます。事実や法則ではありませんが、人は無心で物事を行う人に共感し、応援する性質を持っています。
何かやりたい事があるならば、四六時中ずっとその事だけを考えて行動しましょう。本気で成功したいなら、それが可能なはずです。
<まとめ>
l 人は、夢中になっている時に一番能力を発揮する。
l 何かと引き換えに行動をする限り、満足することは有り得ない。
l 自分や他人に夢中になれる何かを与えてあげよう。
謹告
この文章には著者の主観に基づく考察が多く含まれています。内容を実行して何らかの不利益を被った場合においても、その責任は一切負いかねますのでご了承ください。
また、ここに書かれた技術が誰にでも適するとは限りません。内容を基にして、自分なりの工夫をされることを推奨します。
自分に合った技術を身に付けることが最良であり、この文章が読者の役に立つことを願っています。
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