【第5回】すぐに使える対人術/対人哲学2/嘘
嘘をつかれて良い気分になる人がいるでしょうか?
もしいるのなら、是非その理由を知りたいものです。
しかし反対に、全く嘘をつかずに生活するというのもなかなか難しいことなのではないかと思います。
嘘には2種類あります。
l ばれても害のない嘘:見栄や格好付け、明らかな冗談など言葉遊びの範囲
l 人に迷惑をかける嘘:有名所では、政治家の汚職。身近な所では、約束をすっぽかして、ごまかすなど。
人間活動には取り決めが不可欠です。ふたり以上の人間が関係性を持つには、「何時にどこどこ集合ね。」のような約束をして、それに基づいて行動することが必要になります。
社会のルールも同じで、多少不条理に感じるような規則もあるかも知れませんが、基本的には人間の活動を円滑に、平等に行えるようにするための取り決めです。
人に迷惑をかける性質の悪い嘘は、これらの取り決めを破ったにもかかわらず、それを正当化しようとすることによって生まれます。
交通ルールを考えると分かりやすいのですが、決まりを守らない行為は、守っている人の迷惑になります。しかし、歩行者は右側通行や、自転車は車道を走る。などのように、常に守り続けるのが難しい場合は多々あります。日常生活でも、遅刻してしまったり、約束があったのに忘れていたり、思いがけず失敗してしまうことはいくらでもありえます。
人間が生きて生活する上で、誰にも迷惑をかけないということは絶対にありえません。
一般的なお話をすると、失敗してしまった時はすぐに謝罪すること。理由を正直に話すこと。次の行動について決めること。などが対処法になるのですが、今回の提案は、誠意を示す。ということです。
嘘をつかねばならないような状況になった時、自分を正当化しようとはせずに、迷惑をかけてしまった人に報いることを考えなければいけません。何らかの理由で自分の信頼なり評判なりが損なわれてしまうのだとすれば、そこには必ず理由があります。それを嘘で取り繕い、一時的にしのいだところで、根本的な問題が解決されていないのですから元の木阿弥です。
嘘をつく人は上手くその場を乗り切ったつもりでいるのかもしれませんが、その嘘をつかねばならないような状況に対して何も埋め合わせがないので、とりわけ、迷惑をかけられた人はちっとも納得できません。
理屈や事実を組み合わせて、その場では嘘を受け入れたとしても、その人間に対する根本的な信頼は確実に壊れます。仕方ないでしょう、しょうがなかったんです、といった言葉で何でもやり過ごそうとしたり、ごめんなさいと一言いった後は何も無かったかのように普段通りの行動に戻るような、不誠実な人間にはならないようにしてください。
なんらかの形で、迷惑をかけた人には誠意を示す。これが持続的な人間関係に必要な技術です。
<まとめ>
l 人に全く迷惑をかけずに生活することはできない。
l 迷惑をかけてしまったら、なんらかの形で誠意を見せること。
謹告
この文章は著者の主観に基づく内容です。ここに書かれた技術が誰にでも適するとは限りません。内容を基にして、自分なりの工夫をされることを推奨します。
この文章が読者の役に立つことを願っています。