すぐに使える対人術

人と上手に話す「対人術」を解説しております。ぜひ、お試し下さい。

【第12回】すぐに使える対人術/香り/匂いと臭い

香りは、いろいろと取り沙汰される頻度の高い要素です。香水やアロマといった良い香りもあれば、口臭・腐敗臭といった嫌な香りもあり、漂う香りの感じ方によって、その時の気分や状態が大きく左右されます。

 

今回は、「におい」についてお話しします。上述した通り、人間は嗅覚によってもその場の印象を判断します。そのため、対人術においては、嫌な「におい」を相手に感じさせることが無いように気を付ける必要があります。

この、嫌な「におい」が何かというと、食べ物が腐った時や焦げてしまった時など、対象がどのような状態にあるのかを判断するのに昔から人間が使っている判断基準の一つです。「におい」については食べ物に限らず、人によっては、雨の匂いから天候の変化を察することができたり、遠くの火事を煙の臭いから感じ取ったりすることができるといいます。

つまり、口臭のする人は、匂いの種類にもよりますが、腐った食べ物と同じ印象を相手に与えることになります。口臭に限らず、体臭がすることは、体が清潔ではないということを印象付けてしまいます。清潔でないということは、病気など何らかの異常を抱えている可能性の高い人間という印象を周囲に与え、疫病などの感染源になり得るという認識につながるため、敬遠されます。

これは、集団生活を営む人間が伝染病に対する防衛手段として培ってきた戦略であり、嫌な「におい」を発する人物を避けようとするのは自然な行動なのです。

 

なので、どんなに面倒に感じても、嫌な臭いの対策はやらねばなりません。親密な関係性を築くには、物理的な距離を詰める必要がありますが、嫌な「におい」を発する体では近付くことさえできません。

かといって、香水や制汗剤など、人工的な香り付けを多様するのも考えものです。ここでの人工的とは、花などの自然物由来の香りも含みます。何故かというと、本来ならばするはずのない「におい」が強く感じられるのは、不自然 → 異常 という認識があるからです。良い香りだからといって、多用するのは周囲に悪臭を撒くのと同じ効果をもたらします。電車などの密閉空間での破壊力を知る人もいるのではないでしょうか。

 

自分から出る「におい」を上手くコントロールできても、空間の「におい」までは制御できません。嫌煙家であれば、喫煙席のそばでは煙のにおいが気になって食事に集中できなかった経験をされたことがないでしょうか。嫌煙家にとっては、たばこのにおいは汚物臭と同じです。しかし、自分からではなく空間に漂っているものですし、喫煙は人の自由ですから、席を変えてもらう位しかありません。大事な話をする時は、自分の「におい」対策をするだけでなく、話の場所に漂う「におい」にも気を配っておくことが重要です。

 

また、相手から悪臭がする場合についてもお話ししておきます。大事な取引先であったり、立場的に上の人であったり、関わらざるを得ない人だったりした時、嫌な「におい」がしても嫌な顔をする訳にはいきません。悪いのは相手ですが、相手の出す「におい」の話は逆鱗であることがほとんどなので、表に出すのは御法度です。どうしても耐えきれない場合は、風邪をうつすと悪い。などと前置きして、マスクを付けたり、お茶を相手に勧めてみると良いでしょう。

 

<まとめ>

l  人間が発する「におい」の多くは不潔の象徴。

l  良い匂いでも、過剰だと悪臭と同じ扱いになる。

l  空間に漂う香りにも気を配ろう。

 

謹告

この文章は著者の主観に基づく考察が多分に含まれます。内容を実行して何らかの不利益を被った場合においても、その責任は一切負いかねますのでご了承ください。

また、ここに書かれた技術が誰にでも適するとは限りません。内容を基にして、自分なりの工夫をされることを推奨します。

自分に合った対人技術を身に付けることが最良であり、この文章が読者の役に立つことを願っています。