すぐに使える対人術

人と上手に話す「対人術」を解説しております。ぜひ、お試し下さい。

【第7回】すぐに使える対人術/目線の方向/目の方向と脳の働き2

目の体操をしたことがある人は経験があるかも知れません。目だけを動かすのに、首も動いて顔ごと目を向けようとした方向に動いてしまう。これは、目が何かを見ようとしている時の自然な反応です。人間の視界は360度ではないので、首ごと動かして広い範囲の情報を得る工夫をするのは当たり前です。

 

以前、右上を向いている時には脳の想像力が高まることをお話ししました。この目の方向に対応する脳の働きは、当然ながら他の方向にもあります。今回はそれらについてお話しします。

 

1.左上

左上を向くと、過去に見たものの記憶を思い出しやすくなります。以前に見たことのある図形や写真といった、なんらかの形を持つものを脳がイメージしています。

2.左下

左下を向くと、過去に聞いた声や音を脳がイメージしやすくなります。逆に、現在の音や声は聞こえていても聞いていない状態になりやすいと言えます。

3.右下

右下を向くと、肌で感じる感覚を思い浮かべやすくなります。暑さ寒さや痛み、味覚などが脳にイメージされます。

4.正面

正面を向いている時は、自分が今、意識を向けている対象が脳にイメージされています。

 

ここまで紹介してお分かりかと思いますが、正面以外の方向は過去や空想を脳に思い浮かべる働きを持っています。全ての方向を紹介した訳ではありませんが、基本的に人とコミュニケーションを取る場合には正面に目を向けておくのが一番良いと分かります。

 

ずっと相手の目を見て話をする必要は無く、話しながら相手にどう印象付けるかを意識するようにと、このシリーズ最初の回でお話しました。今回のポイントは、自分にとっての目線と相手から見える目線は違うということです。

自分と相手に身長差がある場合には、自分はまっすぐ前を向いていても、相手から見たら上下方向にずれたところに目線があるように見えることがあります。正面というのは厳密にまっすぐ前を見ることを表すのではなく、もっと幅のある空間を表すと考えましょう。相手を前にして、上下方向に目を動かすのは自分から見た正面の範囲内です。

自分にとっての正面を意識しながら、相手に思い通りの印象を与えるなどと難しく考えながら会話をする必要はありません。当たり前の礼儀として、話し相手のいる方向に、きちんと顔を向けて話をすれば良いのです。顔が相手の方向を向いていれば、自分の脳は相手を捉えて働いてくれます。

 

<まとめ>

l  視線の方向はそれぞれ視覚・聴覚・触覚のいずれかのイメージを脳に想起させる。

l  現在を捉える一番良い方向は正面である。

l  話し相手の方を向いて、きちんと話をしよう。

 

謹告

この文章は著者の主観に基づく考察が多分に含まれます。内容を実行して何らかの不利益を被った場合においても、その責任は一切負いかねますのでご了承ください。

また、ここに書かれた技術が誰にでも適するとは限りません。内容を基にして、自分なりの工夫をされることを推奨します。

自分に合った対人技術を身に付けることが最良であり、この文章が読者の役に立つことを願っています。